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不動産相続時に考えるべき減価償却費のポイント

  • st211311
  • 2024年1月31日
  • 読了時間: 5分

不動産などの固定資産の相続を考えているものの、具体的な税金対策などがわからず困っているという人もいるかもしれません。


相続税対策をするためには、まず減価償却についての知識を整理しておくことが大切です。ここでは、不動産を相続する際の減価償却の計算方法などについて解説していきます。


目次


不動産における減価償却の基本


年数を経るごとに価値が減っていく有形資産を保有している場合、減少した価値を経費として計上することができます。


この経費を「減価償却費」と呼び、出費がないにもかかわらず経費として計上できるため

節税の手段としても用いられています。


不動産における減価償却費は、建物や建物付属設備が対象となります。土地に関しては適用されないため注意が必要です。


また、減価償却費は計算方法が決まっているため任意の金額を設定することはできません。そのため、不動産の相続などを検討している場合は、減価償却費の計算方法も押さえておく必要があります。



被相続人が引き継ぐものとは


相続した不動産の減価償却費を算出するには

被相続人が引き継ぐ事項を確認しておく必要があります。



取得時期

相続人は、取得価額などの根拠となる被相続人の取得時期をそのまま引き継ぎます。


相続税の算出の際も同様に取得時期を引き継ぐことになります。この場合の取得時期とは被相続人が不動産の取得した年月日のことであり、相続人が相続した日を指すわけではないので注意が必要です。


取得価額

不動産取得時の売買契約書に建物部分の金額が明記されていれば

その金額が取得価格となります。


表記がない場合は、原価に関係なく固定資産評価額をもとに按分する方法で

取得金額を算出することになります。


これは被相続人が不動産を取得した時点の価格を示すもので、相続時の課税価格とは

全く関係がないので混同しないように注意する必要があります。


耐用年数

耐用年数がわかれば

国税庁の「減価償却資産の償却率表」で償却率などを簡単に確認することができます。


未償却残高

取得価額、耐用年数、経過年数ともに未償却残高も引き継ぐものとなります。

ただし償却の方法までは引き継がないとされています。


相続人が相続後に行う最初の申告する未償却残高の計算式は以下のとおりです。


“被相続人が最後に行った申告の未償却残高―相続人が最初に行う申告の減価償却費”


事業専用割合

相続によって条件が変わることは基本的にありませんが

事業専用割合が変わる場合は別ですので、事業専用割合変更の届けを出すことができます。



被相続人が引き継がないものは


被相続人は、下記のものについては引き継ぎません。


取得年月日・償却方法

相続した不動産の償却方法は

以前の償却方法にかかわらず新たな減価償却方法の届け出を行います。


平成19年4月1日以降に不動産を相続した場合はすべて

「新定額法」という償却方法になります。


なお、「引き継いだ被相続人の取得時期」と、「償却方法の根拠となる取得年月日」とは

全く扱いが異なります。

両方を区別しないで「取得時期」と呼ぶこともあるので混同しないように注意が必要です。



減価償却費を計算する方法


減価償却費を計算するには

耐用年数を国税庁の「減価償却資産の償却率表」に照らし合わせて算出します。


例えば「建築価格4,000万円」「木造アパート」「建築年数10年」の物件を

平成20年に取得したとして計算してみましょう。

木造の建物の場合、「耐用年数は22年」と決められています。


耐用年数は「(法定耐用年数—経過年数)+経過年数×0.2」という数式で算出できるため、この場合は「(22—10)+10×0.2=14年」という計算になります。


これを償却率表で確認すると「償却率は0.072」であることがわかります。


あとはこの償却率を建物の価格にかけるだけです。

そうすると「4,000万円×0.072=288万円」という減価償却費が導き出せます。


建物の耐用年数は構造によってさまざまな違いがあります。

これから取得を検討する場合は、構造による特徴を知っておくことも大切です。


なお、当該不動産の取得年月日によって減価償却費の計算方法が全く異なってくるため

間違いのないようにしておくことが大切です。


平成10年3月31日以前に取得したものについては「定率法」によって算出されます。

この方法では、不動産の耐用年数が終わるまで一定の金額となります。


それ以降は「旧定額法」となりますが、前述の通り平成19年4月1日以降取得したものは「新定額法」となるため注意が必要です。



節税をするならまず減価償却の計算を

このように、減価償却の計算をするうえで押さえておくべきポイントはさまざまです。

内容が多岐にわたるため、一度に把握するのは簡単ではないかもしれません。


しかし、不動産を相続して節税するということを考えているのであれば

減価償却の知識をしっかりと整理しておくことが大切です。


不動産の減価償却は、建物構造などによってあらかじめ率が決まっているため

確実に計上できる経費だからです。

また、減価償却の性質上、なにもしなくても経費が発生して節税することができます。


経費を確実に見積もるためにも、まずは基本的な減価償却の計算を身に付けましょう。

不動産の減価償却は金額も大きいため、節税としてのインパクトも小さくありません。


この記事の内容を参考にして、ぜひ節税対策を成功させましょう。

もちろん、細かい疑問点がある場合や、心配な場合は専門家の意見を仰ぐことも大切です。お気軽にご相談くださいませ。






 
 
 

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